Max/Msp/Jitter

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Wavetable Synthesis
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Sampling & Processing Autechre Style / オウテカスタイル

max/msp

Samplingとは

音楽におけるサンプリングとは既存の曲や音源の一部を録音し、再構築して、新たな楽曲を製作する音楽製作・表現技法を言います。楽器音のみならずフィールドレコーディングによる自然の音を楽曲の中に組み入れることもサンプリングと呼ばれることがあります。

かつてヒップホップの世界では既存の音源から数小節程度のドラムのビートやベース、ギターのリフの音の一部分を抜粋し、ループさせたり継ぎ接ぎするなど曲の構成を再構築することで新たな曲を作り出すことが主流でしたが、1991年Biz Markie(ビズ・マーキー)のアルバムでサンプリングされた音源の使用許可が得られていないことが明るみになり訴訟がおこり、Biz Markie全面敗訴、アルバムが発売禁止回収になって以降は、商業目的のサンプリングに際して元ネタのアーティストに代価を支払う必要性が決定的となり、元の音源の所有者から抜粋の承諾を得なければ、著作権の侵害にあたるというのが現在の状況です。

Max/MSPにおけるサンプリング

Max/MSPのプログラミングにおいて、サウンドサンプル(あらかじめ録音された音源)を利用するには、HDベースでサンプルを読み出す方法とRAMベースでサンプルを読み込む方法の2種類があります。すでにディスクベースでのサンプルの扱い方についてはRecording & Playbackの回で紹介しましたが、ここではRAMベースでのサンプルの扱いかたについて解説します。

buffer~オブジェクト

buffer~

Max/MSPにおいてサンプルをRAMに格納ためには、buffer~というオブジェクトを用意します。このオブジェクトはアウトレットには何も接続せず、単にRAMにサンプリング用のアドレスを確保するために配置します。
第一引数はバッファー固有の名称を与える必要があります。buffer~を参照し、サウンドを生成するオブジェクトはこの名称を元にどのサンプルを読み込むのかを決定します。
第二引数はRAMにサンプルを格納する秒数(ms)です。
第三引数はチャンネル数となります。今回は通常のステレオサンプリングなので2としていますが、マルチチャンネルの作品に利用する場合は4などの数字にすることで4チャンネル分のサンプル領域が確保されることになります。

record~オブジェクト

max/msp

buffer~でRAMを確保したらmax上でのサンプリングが可能になります。外部の音をRAMにサンプリング/録音するには様々な方法がありますが、今回はリアルタイムにbuffer~への書き込みを行うrecord~オブジェクトを使用します。

第一引数にはbuffer~オブジェクトでRAMに確保した領域で、書き込みたいアドレスの名称を記述します。このパッチの場合はbuffer~は一つなのでbuffer~オブジェクトの第一引数で指定したものと同じ名称を記述します。
第二引数はチャンネル数です。ここをもし1にすると、buffer~で2ch分の領域を確保していても実際には1ch分のモノラルデータしかサンプリングを行わないことになります。

サンプルの読み出し / 再生

Max/MSPにおけるbuffer~の再生には様々なオブジェクトがありますが、今回はオウテカが行っているような通常とは異なるサンプルの再生を行うためにwave~オブジェクトを利用します。

Autechre(オウテカ)とは

aeイギリスのエレクトロニックダンスミュージック、特にエレクトロニカと呼ばれるジャンルで有名なRob BrownとSean Boothによる2人組ユニットです。

クラシック/現代音楽でも試みられていないような複雑なメーター、拍子を持つリズム、音程感すら感じられるパーカッション、ダイアトニック音階や調性とは無縁の抽象的な音響、常に変形し続けるループなど実験的ではあるものの、ダンスミュージックファンには広く知られた存在です。どこからがリズムでどこからがメロディーなのかという境目も曖昧な点も彼らの作品の特徴です。

Max/MSP、SuperCollider、Kymaなどを早くから導入していたことでも知られ、彼らに憧れてこれらのソフトにハマっていくクラブミュージシャンも少なくはありません。
生成的な手法での作曲を試みた例ではConfield と EP7というアルバムがあげられます。右の画像はオウテカが実際に制作に使用したパッチです。彼らは映像は作りませんが、Jitterを使用していることは一目瞭然なので、何らかの音響処理にJitterのマトリクス演算を利用していると考えられます。

wave~オブジェクト

max

今回アルゴリズムを作成するにあたってヒントを得た作品はオウテカが2008年に発表したQuaristiceというアルバムのFol3です。
Fol3ではフィールドレコーディングと思われる自然音をモチーフに、様々な方法でサンプルの変形、再生を行っていると思われますが主なプロセッシングはリバース再生とトランスポジションと思われます。

リバースとトランスポジションという技法は音楽においては非常に歴史があり、古くはカノンの移高や逆行に利用されており、20世紀にシェーンベルク、ウェーベルン、ベルクで知られる新ウィーン楽派の12音技法においても重要なオペレーションとして利用されています。

youtubeの映像では自然音ではなく、ループ素材をsfplay~オブジェクトで再生していますが、自然音を送り込むとCDで聞かれるような音とそっくりな音響を生成することが可能です。wave~ オブジェクトはphasor~オブジェクトを接続し0から1までの数値を連続で送り込むことで通常のサンプルの再生を行うことが可能なオブジェクトです。phasor~オブジェクトの周波数をコントロールすることで再生のスピードを制御することが可能です。phasor~オブジェクトを反転させ1から0までの数値を連続で送り込むと逆再生を行います。

基本的にはこの仕組みだけを利用し、あとは複雑な再生を行うようにphasor~のオブジェクト同士を並列で接続したり、cycle~なども利用しています。このようなサンプルの複雑な再生はハードウェアのサンプラー全盛の時代ではなし得なかったアプローチであり、maxを使う必要が生じる音響の一つでもあります。

このパッチを用いたリアルタイム作曲のMovie

Max/MSPパッチのダウンロード

autechre4.6.mxf.zip (for Max4.x)
autechre.mxf.zip (for Max5.x)
max5Runtime(上記のMaxパッチの実行用フリーソフトウェア for Mac)
max5Runtime(上記のMaxパッチの実行用フリーソフトウェア for win)


参考文献/音源






Max/Msp Algorithmic Computer Music Online Tutorial