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Parallel Organum / 平行オルガヌム

max/msp

Parallel Organum 平行オルガヌムとは

西洋音楽の原点はグレゴリオ聖歌ですが、多数の声部を持つ音楽ポリフォニーの原点は中世のオルガヌムに端を発します。初期の多声音楽の記録はca.850 – 900の"Musica enchiriadis"という中世の音楽の論文に登場します。これは教会音楽の実践マニュアルで、音楽理論や礼拝式などが書かれています。
この書物で最も大きなトピックはdiaphony (ダイアフォニー) 、Organum (オルガヌム)と呼ばれる歌唱法に関するもので、どのように複数の歌い手が楽譜から情報を読み取り同時に音楽を奏でるかというものです。Musica enchiriadisにはいくつかの譜例が登場しますが、これは作曲作品ではなく、どのようにポリフォニーを実践することが望ましいかという模範が記されています。

Organumの歌唱法

organumMusica enchiriadisでは全ての譜例において、単旋律聖歌から引用しているprincipal voiceと呼ばれる声部が一つあります。それ以外の声部はorganal voiceと呼ばれ、あらかじめ設定されている規則に基づいてprincipal voiceに和声付けを行います。
これは楽譜に記されているものではなく、principal voiceの楽譜を元に即興的にorganal voiceを歌うものです。Musica enchiriadis以前の8世紀、9世紀の音楽ではprincipal voiceに対して完全5度下のピッチでorganal voiceを歌う平行オルガヌムによる対位法が存在していました。
それ以前の時代のユニゾンによる聖歌と比較すると遥かに響きが豊かになります。このprincipal voiceとorganal voiceをそれぞれオクターブ重複させた譜例もMusica enchiriadisで見られます。今回max/mspを用いて生成するのはこの4声のパラレルオルガヌムの様式を元にしたものです。

協和音程

協和音程の定義は時代とともに変わるものです。現在では一般的に楽典で習う協和音程とは1度(8度)、3度、4度、5度、6度ですが、16世紀の対位法では4度は不協和音程と考えられていましたし、それ以前は3度や6度も不協和と考えられていました。
今回の平行オルガヌムの生成プログラムで模倣した様式は8世紀、9世紀の音楽の様式であり、この時代の協和音程は完全1度、完全4度、完全5度、完全8度です。現在で言う完全協和音程と一致した音程であり、ダイアトニック音階の中でも振動数比が単純なものを順番に4つ選び出した状態です。

Daseian notation

Daseian notation

Musica enchiriadisで紹介されている音楽はすべてDaseian notationと呼ばれる記譜法で書かれています。これはGuido D’Arezzoが11世紀に近代記譜法を発明するまで使われ続けた記譜法です。
音楽学者のWilli Apelはこの記譜法に対してギリシアの記譜法を中世の人間が模倣したと述べています。

写真のようにピッチの推移と歌詞が書かれ、通常4線から18線までの線でピッチを表します。これはG A Bb c | d e f g | a b c’ d’ | e’ f#’ g’ a’ | b’ c#”のスケール、Hexachordヘクサコードというシステムに基づいた記譜法ですが、ヘクサコードは実際の音楽と一致したシステムではなくあくまでポリフォニーの実践のための理論的なシステムであったようです。

MIDIファイルのリアルタイムハーモナイズ

MIDI解析

morphing

このパッチの大まかな流れは、まずMIDIファイルを選択しデータを再生しながらパース(解析)し、デュレーションやアンプリチュードの値は省き、ピッチの情報のみ抽出し、和声付けを行いMIDIで新たなデータを出力するものです。

MIDIファイルの再生には[seq]オブジェクト、解析には[midiparse]オブジェクトを使用します。[seq]オブジェクトはスタンダードmidiファイルの再生オブジェクトで第一インレットにstart 512というメッセージを送ることでデータ通りのスピードでの再生を開始します。startに続く引数を大きくするほどスピードがあがり、小さくするとスピードは下がります。ただし、スピードをリアルタイムにコントロールするためのオブジェクトではありません。再生を始める前に設定しましょう。

ハーモナイズ

MIDIファイルを解析しピッチの情報のみを抽出したら、今度はハーモナイズを行います。
上にも記載したこの時代の協和音程のみ平行進行で和声付けを行うプログラムにするために、抽出したピッチの情報に足し算を行います。数値は-12, -7, +5です。
これはMIDIノートナンバーであり、principal voiceに対してorganal voiceは1オクターブ下、完全5度下、完全五度上のピッチになっていることがわかるでしょう。

このパッチを用いたリアルタイム作曲のMovie

Max/MSPパッチのダウンロード

parallel organum4.6.mxf (for Max4.x)
parallel organum.mxf (for Max5.x)
max5Runtime(上記のMaxパッチの実行用フリーソフトウェア for Mac)
max5Runtime(上記のMaxパッチの実行用フリーソフトウェア for win)

Blogでの説明 : http://ameblo.jp/akihikom/entry-10177591389.html


参考文献/音源






Max/Msp Algorithmic Computer Music Online Tutorial