コームフィルターとは
コームフィルター(コムフィルタ, comb filter)は信号に対して遅延を加え、原音に混ぜることで干渉を発生させ、フィルター効果を出すものです。コームフィルターの特性をグラフで示すとクシ(Comb)のようになるため、クシ型フィルタとも呼ばれます。
コームフィルターのピークの基本周波数は f = 1/D * sample rate という式で導かれ、連続するピークは2f, 3f, 4f,… のように基本周波数と倍音関係の周波数に出現することから、特定の周波数とその倍音を強調することに応用することが可能です。ピーク以外の周波数は位相の相殺効果によってフィルタリングされます。
Paul Lansky ポールランスキー
ポールランスキーはアメリカの現代音楽の作曲家です。1970年代からコンピュータ音楽、電子音楽作品を発表し現在に至っています。ランスキーはGeorge Perle、Milton Babbitt、Edward Coneに作曲を学び、現在はプリンストン大学の教授として後任の指導にあたっています。また、彼はアルゴリズミックコンポジションのための音楽言語CMIXを開発したことでも音楽界に功績を残しています。
またかれの幾つかの作品では人間の声、詩の朗読などがフィーチャーされ、明確なピッチを持たない音響に対し、LPCやコームフィルターによる音響処理で音楽的なピッチ成分を強調する手法が利用されています。
Max/MSPで実装するコームフィルター
Max/MSPにおいてコームフィルターを実装するためにはcomb~というオブジェクトが有効です。これはIIR型のコームフィルターを実現するためのオブジェクトで、スケーリングファクターのa, bという係数とフィードバック係数、遅延時間をコントロールすることが可能です。フィードバッックを大きくすればするほど、明確な周波数が出現します。基本周波数の設定は遅延時間によって決定されます。式は前述の通り、 f = 1/D * sample rateです。
様々なサウンドソースへのフィルタリング
ドラムのループや人間の声をフィルタリングした例です。これらは元々明確なピッチを持たないソースですが、フィルタリングによってピッチが出現したように聞こえ、ボコーダーにも似た効果が得られます。
注意点は、各種サウンドソースに合わせてフィルター係数を調整する必要があるところです。特にフィードバック係数は気をつけなければ簡単に歪みが発生します。出力の値も大きくなるので、リミッターやコンプレッサーで値を整えたほうが突発的なクリッピングのためにも良いでしょう。
現代の音楽美学におけるコームフィルターの問題点
ポールランスキーがコームフィルターによる作品を発表して以降、多くの作曲家によってこのフィルタリングは利用され、現在では使い古された古典的なサウンドとなってしまったため、あえて利用すると、プリンストン関係の人間かランスキーに強い影響を受けていると受け取られてしまうため、このフィルターの使用には慎重を要します。
コンピュータ音楽ではしばしば音色や新種の音響処理技術そのものに焦点を当てて作品が作られることがあります。勿論、表現上その音色がどうしても必要であればおおいに作品の中で使用すべきですが、このフィルター自体をフィーチャーした作品を作ることは、現代ではノスタルジーでしかなくかなりリスクが大きくなっています。
ポールランスキーの音源
OHM+: The Early Music Gurus of Electronic Music – 1948-1980 [3CD+DVD] |
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Maryanne Amacher
Ellipsis Arts 2005-10-25 おすすめ平均 |
More Than Idle Chatter |
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Paul Lansky
Bridge 1994-09-20 |
Percussive Counterpoint |
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Paul Lansky
Concert Artists Guild 2008-12-23 |
Paul Lansky: Conversation Pieces |
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Paul Lansky
Bridge 1998-09-15 |
Paul Lansky: Etudes and Parodies |
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Paul Lansky
Bridge 2007-03-13 |
Things She Carried |
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Paul Lansky
Bridge 1997-09-16 |
Lansky: Smalltalk |
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Paul Lansky
New Albion 1994-04-05 |
Alphabet Book |
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Paul Lansky
Bridge 2002-10-29 |
Homebrew |
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Paul Lansky
Bridge 1993-04-19 |
Paul Lansky: Ride |
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Paul Lansky
Bridge 2001-02-27 |
Lansky: Fantasies and Tableaux |
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Paul Lansky
CRI 1995-01-24 |
Folk Images |
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Burl Ives
Bridge 1995-09-19 |
Paul Lansky: Music Box |
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Paul Lansky
Bridge 2006-12-26 |