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Granular Synthesis (Iannis Xenakis)
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Data Mapping (Guido Da Arezzo)
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Tonal Harmony (Jean-Philippe Rameau)
Tintinnabuli (Arvo Pärt)
monome (Brian Crabtree and Kelli Cain)
Golden Mean (John Chowning)
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Irregular Rhythm(Igor Stravinsky)
Iso Rhythm (Philippe de Vitry)
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Tone Cluster (Ligeti)
Brown Noise (Leonin)
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Fractal (Charles Dodge)
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アルゴリズミックコンポジション / 自動作曲

アルゴリズミックコンポジションとは作曲にかかわる手順の一部を効率的に定式化し、音楽を生成する技法です。これは必ずしもコンピュータのプログラミンングを用いることを意味していません。
近い訳語として自動作曲、自動生成などの用語が用いられます。
特にコンピュータを用いる場合にはコンピュータエイデットコンポジション、コンピュータアシステッドコンポジションという用語が使われる事がありますが、これも広い意味ではアルゴリズミックコンポジションに含まれるような作業を意味します。

アルゴリズミックコンポジションの歴史

アルゴリズムとは元来算術における一連の手続きや規則のみを指す言葉でしたが、現在では数学の分野以外でも広く用いられるようになり、問題を解決するために有限回数のステップを踏むような規則の集合という意味があります。

作曲の際に与える制限は作曲家個人の様式を生み出すことにも貢献しています。例えば調性和声における声部書法も非常に多くの制限があり、その規則を守るだけでも一つの様式を満たした音楽を作曲することが可能です。

更に、和声法の禁則の中で一定の制限を持った進行や音の組み合わせの規則を与えた場合、作曲家個人の様式を生み出すことが可能になります。フーガや対位法による多声音楽も同様のことが言えます。このように作曲家は意識せずとも実際には何世紀にもわたって、様々な種類のアルゴリズムを作曲に利用してきた歴史があります。

コンピュータ出現以前

古代ギリシア

eucl古くは古代ギリシアで風の力で音を生成する風鈴のようなシステムまで時代を遡ることが可能です。Ptolemy や Platoといった学者が音楽と天体との関係などを論じていて、独自の音楽理論を構築していました。
しかし、古代ギリシアの音楽は即興が主体であったため、これらの理論は実音楽と結びついていたかどうかは疑わしい部分もあります。

音楽を離れて、世界最古のアルゴリズムを探ると紀元前300年頃Euclid(ユークリッド)が記したEuclid’s Elements(ユークリッド原論)の中のユークリッドの互除法と言われています。

詩から音楽を生成

中世のイタリアの音楽理論家Guido d’Arezzo(グイードダレッツォ 992年 – 1050年)が行った算術的な作曲プロセスはラテン語のテキストを一定の規則の元に、旋律に変換するというものです。

これは作曲家が自由に音楽を作るのではなく、あくまでもテキスト、歌詞に依存して生成される音楽が決定するルールベースの作曲技法であり、現在では最も古いアルゴリズミックコンポジションの一つと考えられる手法です。

この手のアプローチは一種のデータマッピングと考えられ、Max/MSPを使ってアルゴリズミックコンポジションを行った例の解説は下記ページに記してあります。

http://akihikomatsumoto.com/maxmsp/guido.html

isorhythm

14世紀の作曲家Philippe de Vitry(フィリップドヴィトリ)によって発明されたisoリズムは、後にGuillaume de Machaut(ギョームドマショー)によって頂点を極めます。
これはコロルという音程の集合とタレアというリズムの集合を規則的に組み合せ、複雑なホケトゥスなどを生み出す作曲法です。一種の反復の技法ですが、タレアとコロルが反復される位置がずれているため、聞いている側には音楽的に繰り返されている部分があるようには知覚されません。

iso

カノン

ルネサンス期最大の作曲アルゴリズムはカノンです。カノンとは定旋律の主題を異なるタイミングで歌い始める技法であり、どのタイミングから始めるかでハーモニーまで決定される理論です。
そのタイミングをつかさどるものこそがアルゴリズムといえるでしょう。時には主題のリズムや音程の拡大や縮小も行われますが、カノンはフーガと違い一定のルールに基づいた旋律の厳格な模倣を必要とします。

canon

モーツァルトのダイスゲーム

古典派の巨匠モーツァルトもまた、自動的な生成過程を用いて音楽を作曲した作曲家の一人です。Musikalisches Wurfelspiel に内在しているアルゴリズムは断片化された無数の数小節の音楽に番号を振り、それぞれの断片の並び順をダイスを用いてランダムに選び出すというものです。
これは生成される音楽に無限のバリエーションをもたらすアプローチです。ジョンケージの偶然の音楽もランダムを作曲に応用した例です。

コンピュータ以降のアルゴリズミックコンポジション

"Illiac Suite" …Lejaren Hiller (1956)

作曲にコンピュータのアルゴリズムを用いた最初の例はイリノイ大学のLejaren HillerとLeonard Issacsonが1956年に発表したヒラーの弦楽四重奏曲です。
この作品ではイリノイ大学にあるイリアックコンピュータがピッチ、リズム、その他の音楽的な記号を生成し、アルファベットと数字の組み合わせとして出力します。これを人間の手によって翻訳し、伝統的な弦楽四重奏の楽譜が完成しました。この作品はマルコフ連鎖のアルゴリズムを元に音楽が組み立てられています。

American String Quartets, 1950-1970
American String Quartets, 1950-1970 Norman Fischer

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Iannis Xenakis

クセナキスは様々な数学の論理を用い、コンピュータを使った確率論的手法で作曲を行った作曲家として有名です。Enotaはピアノ曲ですが、冒頭部分を除いてはIBMの7090コンピュータを用いてアルゴリズミックコンポジションによって作られています。

その他の作品では、ST/10、080262、ST/48-1、240162、Atrees、Morsima-Amorsimaはストカスティックな方法を使って書かれた器楽曲があります。

Xenakis: Metastasis; Pithoprakta; Eonta
Xenakis: Metastasis; Pithoprakta; Eonta Iannis Xenakis

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David Cope

David Copeはアメリカの音楽学者/作曲家で Experiments in Musical Intelligence (EMI) EMIの開発者です。EMI は内部のデータベースから適切なメロディ断片を検索し、ある音楽文法に従って接続し音楽を生成していきます。
更に彼は自身の過去の作品を分析し、自分の様式での音楽を自動生成することにも成功しています。このことは作曲家はもはや新しい様式自体を作らなければ創造的行為を行っていることにはならないという価値観を生み出しました。

Classical Music Composed by Computer: Experiments in Musical Intelligence by David Cope
Classical Music Composed by Computer: Experiments in Musical Intelligence by David Cope David H. Cope

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Luke Dubois

Luke Duboisはアメリカの作曲家、メディアアーティストであり優れた作品を発表すると同時にMax/MSP/Jitterの開発にも携わっています。彼は植物の発生とも関わりがあるL-Systemのアルゴリズムを映像と音楽に適用したり、ビルボードトップの過去50年に渡る作品の音響を採取し、それらをコラージュした作品を発表しています。

R. Luke DuBois: Timelapse
R. Luke DuBois: Timelapse Luke Dubois

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アルゴリズミックコンポジションの美学的必然性

David Copeがもたらした美学の転換

mac上記のDavid Copeのアルゴリズミックコンポジションによる成果は、例えばショパンならショパンの様式をモデリングし、コンピュータ上に実装することによって生成される楽曲は、音楽学、音楽理論の専門家でも真作と見分けがつかないほど忠実に個人様式を再現した楽曲を生成できるレベルまできています。

この事実は現代のすべての作曲家にとって大きな問題です。人間の耳には今の技術でコンピュータが生成した音楽と、訓練されている音楽家が作曲した音楽の区別ができません。
作曲家はもはや、同じ様式にとどまって音楽を作曲する限り、様式模倣のアルゴリズムに生成させた音楽よりもはるかにミスが多く精度が低い作品を作曲することに多大な時間を費やしているにすぎないという考え方がアメリカの音楽家を中心に広まりました。

これは芸術的、創造的で価値がある行為と呼べるでしょうか。

人間にしかなし得ない創造性

しかし人間にしかできない創造的行為は残されています。それは新たな音楽様式を作り出すということです。

過去の西洋音楽の作曲家は例えば時代様式という大きなくくりの中で個人の様式を確立し作曲することは、訓練された作曲家のみ成し得る芸術的、創造的行為でした。

しかしコンピュータ出現以降は音楽作品というよりも、一つ上の階層の概念である音楽様式を作ることこそが人間に残された美学的に創造的な行為と考えることができるようになりました。ここで問題になってくる、新たな様式を作り出すことこそがメタ作曲であり、そのために有効な手段の一つがアルゴリズミックコンポジションと呼ばれるアプローチとなります。

新たな音楽様式を作るためには、作曲法に加えて、音楽理論の体系的な知識、プログラミング技術が不可欠となります。
それが真に芸術的価値があるのかを検証するためには哲学や美学、論理学の研究も勿論欠かす事はできません。音楽の生成のためのプログラムを書く行為が既に「作曲行為」と見なされると主張する作曲家が存在する理由はここにあります。これは正確には、「作曲行為」というより「様式創造」であり、メタ作曲のことを暗に意味しています。

しかし、歴史的に存在している過去の音楽様式の構成法を知らずに、常に新たな様式を作り続けることは、運転方法を知らない飛行機を操縦し、いきなり世界中を飛び回るようなものであり、ほぼ不可能でしょう。これからの作曲家は、これまで以上に過去の様式についての意識を持つ必要があると思われます。その様式学習法が和声学であったり、対位法であったり、12音技法であります。

アルゴリズミックコンポジションの優位性

作曲アルゴリズムはプログラムによる自動作曲、自動生成を通じて、そのアルゴリズムが内包する音楽様式そのものを評価することが容易になります。

通常、作曲行為を通じて何作品も音楽作品を作ってからでなければ見えてこない音楽様式も、アルゴリズミックコンポジションを用いれば瞬時に同じ様式の範囲内の楽曲インスタンスを無限に生成できるため、様式(アルゴリズム)の特性を見抜くことが簡単になります。

生身の人間が作曲の訓練を行い、何年もかけて一つの芸術作品を作ることは十分に創造的に感じますが、現代の作曲美学でそれはコンピュータにも劣る行為とみなされ、同じ様式にとどまって作曲を行うことを否定する動きが特に90年代以降広まってきています。

ヨーロッパのアルゴリズミックコンポジション

ヨーロッパでは上記のアメリカのように、様式をモデル化するようなアルゴリズミックコンポジションとは全く別のベクトルから技法が発達しています。これは12音技法のようにシステマティックに作曲を行うセリー音楽からスタートし、シュトックハウゼンやブーレーズの技法から大きな影響を受けています。


Max/Msp Algorithmic Computer Music Online Tutorial