Allen Forteに始まる無調音楽のピッチの構成理論、ピッチクラスセットセオリー (ピッチクラス集合論)を応用し、各ピッチクラスセットが持つ音楽的特性をMax/MSPの自動作曲アルゴリズムを通して聴覚的に確認できるプログラムを開発しました。
近代、現代の作曲家はストラヴィンスキーをはじめ、気に入った音の響きを最初に見つけ、その集合を展開させて音楽を構成する方法を取る場合が多いです。その際にピッチクラスセットセオリーは分析のための理論としてだけではなく、作曲のシステムとしても有効な理論となります。
今回のMaxパッチは作曲前のスケッチ、計画段階で使用すると便利なツールです。映像ではトライアド、オールインターバルテトラコード、ペンタトニックスケール、ダイアトニックスケール、オクタトニックスケール、ホールトーンスケールの特性を持つピッチクラス集合をクリックし、音楽を自動作曲するプログラムになっています。各ピッチクラスセットがもつ響きの特性の違いが確認できると思います。
同一の生成理論から音楽を生成しているため、より各ピッチクラスセットの特性が見え易くなっており、単純なスケールや反復ではなくより音楽的な音符の組み合わせが発生するよう工夫しています。各ピッチクラスセットに基づいて音楽を作曲した場合にどのような音の組み合わせが出現するかをシミュレートするためのツールと考えてください。
ピッチクラス集合論、ピッチクラスセット理論(Pitch-class Set Theory)の音楽理論そのものの学習には以下の文献が有効です。
Structure of Atonal Music (Allen Forte)
Basic Atonal Theory (John Rahn )
Introduction To Post-tonal Theory (Joseph N. Straus )