ちょっとコンパクトに荷物を詰め込んでYCAMに打ち合わせに行って戻ってきたらバイノーラルマイクが故障してしまったので、これまで使っていたRoland CS-10EMをAdphox アドフォックスのBME-200に買い換えました。
Adphox バイノーラルマイクロホン・イヤホン BME-200
http://www.adphox.co.jp/microphone/index.html
マイクロホン
エレクトレットコンデンサー型無指向性
インピーダンス 1.6kΩ
感度 36.5dB
最大入力音圧レベル 105dB S.P.L
周波数特性 30~20,000Hz
電源 プラグインパワー(1.3~10V)
イヤホン
密閉型ダイナミック インナーイヤー
使用ユニット径 13.5mm
インピーダンス 19Ω
音圧感度 112dB/mW
最大入力 50mW
周波数特性 100~10,000Hz
プラグ
マイクロホン、イヤホンともに
金メッキのステレオミニプラグ
付属品
イヤーパッド
(L,M,S 各1組)
ウィンドスクリーン
本革キャリングポーチ
これが、非常にすばらしい。
何が良いかというと、高解像度で、ダイナミクスの急激な変化にも強い感じがあります。
とても自然で、両耳で聴いたままの音が録れます。
高品質なバイノーラル録音は、ちょっと前に録音した音をプレイバックしながら歩こうものなら、車がきていないのによけようとしたり、錯覚で事故がおきるようなレベルのリアルさです。
アドフォックスのバイノーラルマイクは小箱に入っていて、風防と(婚約指輪が入っているような)ハードケース、(端金が入る巾着のような)ソフトケースがついてきます。
僕の場合、バイノーラルは屋外で録音されるケースが多いので風防は必須アイテムです。
ローランドのCS10EMで複雑な音波を受け取ろうとすると細部が少し潰れたというか、マイク自体の解像度が落ちる感じがあるのですが、アドフォックスはそのへんの解像感が下がらないのでとても立体的に音が運動したり変化する様子をとらえることができます。
ちなみに、アドフォックスはイヤフォン機能のほうの周波数特性は100Hzから10KHzまでなので録音よりもだいぶ音質が落ちます。
ローランドは逆にマイク側よりイヤフォン側のほうが周波数特性がいいです。
このあたりの違いは、モニタリングはあくまで吹かれ等のチェックであって、通常のスタジオ録音でのサウンドチェックのように大音量を出すこともできないバイノーラルマイクではモニタリングの意味は違っているので、不満に思うことはないでしょう。
実際完全にハウリングを防ぐためには本番録音ではイヤフォンジャックを抜いたほうがいいです。この回り込みで位相がおかしくなって音質が劣化するケースがバイノーラル録音にはおこりがちだからです。
音色的にはローランドはドンシャリ系で、ハイもスーパーローもけっこう出てる感じなのですが高周波の特性と波形に対する解像度の違いっていうのは比例するとも限らないので
このあたりはマイク自体のダイアアフラムの俊敏性の問題でしょうか。
あと、ローランドはどこかに変わったピークがあるような感じがあり、中高域にクセがあります。
アドフォックスはクセが無くフラットな印象です。
例えば高周波の特性がいいマイクなら当然周波数が高い≒細かい波形の変化を受け止められるという意味なのですが、例えば低周波からいきなり高周波に波が変わった場合、急激にダイアフラムの揺れかたは変化するので、高周波が出るからといってその変化について来れるわけではないという意味で、周波数特性とは別に解像度に差がでてくるのかななどと推測します。
このあたりはスペアナとかで測定できる範疇では無いので、耳を頼りに判断するしかありません。
これまで、バイノーラル録音はリアルに立体音響的な収録をするような用途ではなく、無指向性マイクがステレオで使えるくらいの意味で素材作りに使っていたのですが、アドフォックスならもっとリアルに空間性や運動性を録音できるため、これまでとは違う素材の作り方も考えられるかなと思いました。
よく自作で1000円以内でバイノーラルマイクを作っている人がいますが、おそらく一度本格的なバイノーラルマイクを使えば、自作でできるクオリティーには限度があることがわかると思います。