+MUS (http://plumus.tokyomax.jp)から新作EP “Metamemory” をリリースしました。
このEPのリリースにあたっては約一年の制作期間をかけ、じっくり作品を作り込んでいます。
この手の音楽としては珍しくかなりのトラック数を使った音楽で、細部に渡るまで緻密に作り込んでいるためとにかく作るのに時間がかかりました。
ラップトップとソフトシンセでササっと作れるスタイルのIDMとは違い、さまざまな楽器やフィールドレコーディングをし、プログラム開発や機材開発もこの作品のためにしてます。
特にギターの音はかなり使ったので、ラップトップ以降のギターミュージックの進化系という観点から見るのもありだと思います。
ダムタイプの藤本隆行氏からもコメントをいただきました。
ここ半年くらいは他の仕事をセーブしてMetamemoryの制作に専念した力作なのでぜひお聴きください!
http://plumus.tokyomax.jp/release/mus-012
Metamemory
芸術としての音楽は歴史、技術、情報といった人類の資産的記憶を、個人の聴覚体験の記憶として扱う困難性を伴います。本作ではメタ記憶としての音楽をテーマにしており、音楽の伝統的な様式や技法、思想をメタ的なアルゴリズムとして捉え直し、積極的に生成規則として引用し様々な方法論で組み合わせながらプログラミングを通じて再構成することで、伝統的な音楽の歴史とは全く別の音楽体験を作り出すことに取り組んでいます。
Track List
1.BAKUSHUKU
2.Complexity
3.Hymn
4.Linearlity
5.Thanatos
6.Skeleton
7.Ramification
Credit
Label … +MUS (http://plumus.tokyomax.jp)
Composition … Akihiko Matsumoto (http://akihikomatsumoto.com)
Mastering Engineer … Yu Miyashita at Underarrow (http://www.underarrow.com)
Art Work … Adam Hosmer (http://adamhosmer.com)
Comment from Takayuki Fujimoto (DUMBTYPE, Kinsei R&D)
Note_ “Metamemory … Akihiko Matsumoto”
これらの音楽のために収集された過剰な音素は、一律の面というよりは網のように繋がりつつ積み重なっていき、その編目のそこここから接続を待つ炭素の腕が飛び出している。それらのレイヤーは不透明で、重なりは直視出来なくても、その表面には下に隠されたモノの凹凸が浮き上がる。
そこには、線的に伸びるモニュメントというよりは、有機分子モデルのアシンメトリーな規則性と複雑さがあるようで、その構造をリズムがオーバードライブするというよりは、冷徹に切り刻んでいく。
その溢れる音の中でも手触りが感じられるのは、Akihiko Matsumotoがネイティヴなプログラマーなうえに、確たる音楽的教養を持っていることの証だと思う。
彼の最新作「Metamemory」は蓄積された莫大な情報に振り回されることなく、その中を泳ぎ回るような作品となった。
20140930 藤本隆行/Kinsei R&D