ストラトキャスター(NEX-5N Voigtländer NOKTON classic 40mmF1.4)
ストラトを地道に改造しています。
ギターの塗装を改造するというのはもう10年以上やっていなくて、あまり興味も無かったのですが、ある一本の木との出会いからこの改造は着想を得ています。
ストラトキャスター(NEX-5N E 50mm F1.8 OSS)
レリック加工というとフェンダーのカスタムショップで塗装をヤスリで剥がしたり打ち傷を付けたりして、オールドギターのような風格を出す加工として有名です。ロリー・ギャラガーのストラトやジョン・メイヤーのストラト、スティーヴィー・レイヴォーンのストラトなどボロボロにはがれた塗装の状態までシミュレートしたモデルも販売されているほど、レリック加工はギタリストの世界では人気があります。
ストラトキャスター (NEX-5N Carl Zeiss Biogon T* 28mmF2.8)
しかし、僕が行っている加工はこういったギターの世界でのオールド指向とは少し違います。
オールドギターではなく、製品や楽器になる以前の古い木材そのものの質感をギターに反映しようとしています。
ストラトキャスター(NEX-5N E 50mm F1.8 OSS)
まずは塗装を剥がすところから始めました。
高校生の頃から剥離材などの薬品を使ってポリ塗装を剥がしたり、いろいろありがちな経験をしていますが、今回は10年以上ぶりです。
剥離材は材が変に染みたり汚れることがあるので、今回はサンダーで削ってます。
その後様々な塗装や加工をボディーやネックに施しているのですが、そのモデルになったのがこの写真の背後にある都内某所の大木です。
ストラトキャスター(NEX-5N Carl Zeiss Jena Flektogon25mmF4)
この質感をギターに反映して、ギターという人工的に作られた楽器を少しでも自然の状態に返し、自然と共生するような演奏を行いたいと思ったからです。シンセサイザーやコンピューターといった電子楽器とは違い、天然の木材を利用したギターは湿度にもデリケートですし、人間の思うように鳴ってくれないことも少なくありません。
ストラトキャスター(NEX-5N E 50mm F1.8 OSS)
こういった、生き物的な特徴を分厚い塗料で覆い隠すよりもむき出しにしていったほうが身体に馴染みますし、付き合いかたが変わるものです。
特にネック裏は木の質感を感じながら演奏したほうが塗装でガチガチに固められたネックよりも遥かに演奏しやすいと感じるのは僕だけではないはずです。
ボディーも手が当たる部分などはできるだけナチュラルな木の質感があるほうが僕は弾きやすいです。
ストラトキャスター (NEX-5N Carl Zeiss Biogon T* 28mmF2.8)
願わくば、この木を使ってギターにしたいくらいなのですが、さすがに音響特性的に厳しそうです。
なので、アッシュ製のストラトをベースに改造しています。
ストラトキャスター (NEX-5N Carl Zeiss Biogon T* 28mmF2.8)
こうやって既製品をすこしずつ自分だけのオリジナルな楽器へと変容させていく過程は、ある意味で作品作りがここからもうはじまっているような感覚があります。
Max/MSPで音を作るためのプログラムを作るメタ的な行為と、ギターを作っていく行為は全く感覚は変わらない感覚です。
ストラトキャスター(NEX-5N Carl Zeiss Jena Flektogon25mmF4)
Fender: The Golden Age 1946-1970 Martin Kelly Paul Kelly Terry Foster Cassell 2010-05-24 |