物理学とは
自然界における普遍的な法則をまとめた科学の一分野である物理学は数学とも関連が深く、Max/MSPにおいて音響を生成するにあたっては基礎的な物理学、特に波動の学習が必要となります。
波動
波動という特性は音のみならず、光、水、ラジオ、X線などさまざまな媒体に存在し、我々はそれらが複雑に交差した状況の中で生活をしています。様々な媒体に対する波動にはいくつかの共通点があります。その一つが搬送性であり、その速度は媒質によって異なります。
光波が一秒間に3.00*10^8m進むのに対し、音波は気温20度の場合344mとなります。音波の場合の媒質が液体の場合には更に速度は下がります。光波やラジオ波は空間さえあれば他に媒質を必要としませんが、音波は気体、液体もしくは個体の媒質を搬送に必要とします。
音波は個体、液体、気体を伝わる事が可能です。音波が空気中を伝わるとき、我々の耳は微弱な気圧の変化を音として感知します。その気圧の変化は媒質にずれ弾性が生じないため粗密波として伝播する縦波となります。楽器などの個体を伝わる場合、その波動は縦波と横波が組み合わさり複雑なものとなります。
進行波
一般的に媒質が液体か気体の場合以下の式が成り立ちます。
v=fλ
vは速度、fは周波数、λは波長を意味します。 我々が音の高さを知覚できる波動の特徴は周期性がある波動となります。周波数という言葉は一秒間に波形の周期が何回繰り返されるか、波長は波動の一周期あたりの長さを意味します。
正弦波
正弦波は厳密には自然界には存在しません。しかしフーリエ以降の物理学では、すべての波動は無数の正弦波の集合と考えるのが一般的です。
y=Asin(ωt-φ)
上の式はAが振幅を表し、yが変位、ωは角周波数、φは初期位相、tは時刻を意味します。
それぞれ周期や振幅を変更した波形が上図になります。緑の線が原型波としてのy=sinx, 青い線がy=1/2sin(4x+0.6)の波形です。振幅が半分になり、周波数が4倍、位相が0.6πラジアン進行した様子がグラフからも確認できるでしょう。