マルチチャンネルのオーディオインターフェイスを用いてサウンドインスタレーションやライブをする際に重要になってくるのがスピーカーのチューニング。
ATAK / port のevalaさんに以前に、ギタリストはアンプのツマミを徹底的にいじって自分の音を作るのに、コンピューターを使うアーティストの場合現場のPAのチューニングを何もしないで音を出すのはおかしいと言われてハッとして自分もきっちりやるようになりました。
ギタリストが箱のアンプをそのままデフォルトの設定で使うことなどありえません。
しかし、少なからず電子音楽のコンサートやライブでは作家側はスピーカーやPA機材の部分までは手をいれず、あくまでコンピューター上のみで音作りをして再生することがあると思います。
最終的にアウトプットされるのは現場のスピーカーと空間によるものです。
これはいくらコンピューターで完璧に音楽を作ったとしても、最終段でぶちこわす可能性が十分にあるのです。
なので、EQや音量のバランス、スピーカーの角度なんかも現場でお客さんが入る位置からモニタリングしながら調整するのがベストです。
そこで、調整用に作ったMax/MSPパッチをアップしました。
このパッチは単にピンクノイズ、ホワイトノイズ、サイン波を出力し、一定時間ごとに1chずつ音を送っていき、インターフェイスからスピーカーへのルーティングの確認、音質の確認などを行うためのものです。
http://akihikomatsumoto.com/download/
このパッチが何かを生み出すということではなく、これを使って各スピーカーごとにピンクノイズを送っていき、レベルのばらつきや空間特性によって音量調整が必要な箇所を特定します。言うまでもなく、パッチではなく、耳が最も重要です。
場合によっては4chのうち2chは別のメーカーのスピーカーが設置されているような環境もあると思います。
その場合は、ピンクノイズを聴きながらそれぞれのスピーカーの音質ができるだけ近くなるようにEQ補正します。
よくあるのが、講演にも使われるホールなどで同一メーカーのスピーカーで統一されていながら、トーク用のフロントスピーカーだけ極端に使用頻度が高いためヘタってきており、音質がバラついてしまうことがあります。
特にIRCAMのSPATなどを使って立体音響のような作品を構成する場合は各スピーカーの音質の統一がなければどんなに緻密にプログラミングを追い込んでいても全く定位感を感じることができなくなってしまいます。
パッチとしては非常に地味ですが、僕にとっては制作において欠かすことができないMax/MSPパッチです。