音楽におけるドローンは20世紀の前衛やアンビエントミュージックで生まれた新しめな技法と誤解されがちだけど、クラシック音楽史では12世紀のパリでドローンは全盛期。ノートルダム大聖堂のロングリバーブでテノールがグレゴリオ聖歌をドローン的に引用し上声を作るのが作曲。
16世紀までの作曲は現代の作曲とは定義も違っている。
当時の作曲とは神から与えられた単旋律聖歌をテノールに据えて、ノートルダム楽派のようにドローンとして引き伸ばしたりしながら楽曲の土台を支え、上声部の旋律を考えることが作曲で聖歌の引用無しに自由に音を組み立てることはご法度でもあった
格式高い伝統の歌を引用することが作曲の正当性を保証する時代の音楽から800年ほど経過した現在の音楽に何を思う?
ちなみに20世紀にノートルダムポリフォニーのドローン的技法を引用してるであろう例としてはスティーブライヒの1995年のProverbを参照されたい。