アナログコーラス特有の高域と低域が劣化したエフェクト音はロックの歴史上重要な音です。
本来エフェクトの音はハイファイなほうが良い風潮がありますが、コーラスに関してはローファイなほうが原音との干渉の関係で音が太く聴こえる傾向があります。
Bossの記念すべき第一号のエフェクターであるCE-1は512段のBBD素子を持つアナログコーラスであり、後にCE2でBBDは1024段になりました。
BBDはアナログディレイにも利用されるバケツリレーのような原理での遅延のための部品であり、段数が多い程遅延時間を稼ぐことができ、反面音質が劣化します。遅延時間に反比例して音質が劣化するのはデジタルディレイには無い方向性です。
BossのCE1やCE2は中音域にエフェクト音がフィルタリングされており、分厚い音が出ます。CE-2のほうがCE-1よりも中音域が出るという人が多いのは、BBDの段数が関係しているのかもしれません。
コーラスは多重に音が重なっているような高価を狙うエフェクター黎明期のギタリストには重要なエフェクターであり、時代の音を作ったとも言えます。
深くかければオルガンのようなサウンドにもなります。
M4L用のアナログコーラスのプラグインをリリースしました。
M4L Analog Chorus (.amxd file)
このプラグインはアナログとは何か、ということを考え実装しています。
実際に手元にあるCE2と聴き比べながら音を追い込んでいます。
CE2はBBDという音をバケツリレーで遅延させる素子の段数が多い関係で、CE1よりも高域の劣化が激しいのですが、逆にギターに重要な中音域に音が凝縮しています。
ableton の標準のコーラスと聴き比べてみてください。
abletonは非常にシャープできれいに広がったコーラスサウンドが響きます。
一方このanalog chorusは音に膜をかぶせて分厚くしたような暖かみのある音になります。
ギターだけでなくあらゆる音響にこれは有効だと思いますが、残念ながらアナログコーラスはギタリストの世界以外でほとんど知られてません。
なので、作りました。
その他のM4Lプラグインは以下のサイトにまとめてあります。
デモムービーなどをご覧になればどのような音が作れるかイメージできると思います。
http://akihikomatsumoto.com/download/