近年復刻されたフェンダーのブルースデラックスは90年代以降の傑作アンプです。
オリジナルは93年発売。リッチー・フリーグラーがこれらのアンプの生産を取りやめてホット・ロッド・シリーズにシフトしてしまいましたが、ツイードのブルースデラックスの独特な渋さはファンが多く、大友良英氏もソロライブで愛用しています。
“BLUES DELUXE”はソリッド・ステートの整流管と、プリ段に12AX7x3、パワー段に6L6x2を備えた40Wアンプで12インチx1スピーカーが搭載されていますが
時期によってエミネンスのレジェンドシリーズが載っていたりジェンセンのアルニコが載っていたり、その音も様々です。
ノーマルチャンネルはハイからローまできちんと出ていて、ふくよかでコンプ感が強いです。
ドライブチャンネルは高域は枯れたような抜けで、現代的なミドル、低音は逆にビンテージ・ライクにもったりした音になります。
低音はドライブチャンネルのほうがカットされています。
ブルースデラックスはホット・ロッドほど歪みませんが、『モダンなビンテージ・トーン』という二律背反したようなイメージの進化系オールドトーンが絶大な支持を集め、未だに多くの根強いファンがいるためリイシューに至ってます。
CBS期以降に開発されたオリジナル・モデルで正式にリイシューされたのはブルースデラックスが初のことです。
エレキギターというのは、電気楽器なのですが、スピーカーまで含めたアコースティック楽器系と見ることもできるのではないでしょうか。
そうなると、アンプというのは楽器のボディーのようなもので、音色形成にものすごく重要であることが予想できると思います。
ブルースデラックスに搭載されているエミネンスの現代的なスピーカーのトーンもいいのですが、ツイード期のツインやチャンプの独特のクランチトーンが好きな人にはジェンセンのアルニコスピーカーであるPシリーズへの交換をお勧めします。
特にツイード期のフェンダーアンプでおなじみのJensenスピーカー。これこそがアメリカンサウンドのみならず、世界のスピーカーの始まりと言って良いでしょう。
Jensenの創始者であるPeter Jensenはデンマークの出身。
1886年に生まれた彼は電話機やラジオの技師として働き23歳でアメリカに渡りカリフォルニアに小さな工房を設立しラジオの送信機などの開発を始めます。
そして1915年、世界で初めてボイスコイルを使用したラウドスピーカーを発明。
発明されたスピーカーは「Magnavox」と名付けられ、民声用あるいは軍事用として全米に広く知れ渡って行きました。
1925年にMagnavox社を離れたJensenはシカゴに移り翌々年の1927年にJensen社を設立。
ここから歴史はスタートします。
後にエミネンスを設立するBob Gaultは元Magnavoxのエンジニアです。
エミネンスはPeter Jensenの死去以降、Jensenに取って代わるかたちでフェンダーのアンプに採用されるようになったメーカーです。
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ちなみにジェンセンのアルニコPシリーズはベースマンやツイン、デラックス等の50年代のフェンダーアンプに実際に採用されていましたが、60年代になるとセラミックであるCシリーズが採用されるようになります。
60年代のトーンが好きな人にはセラミックもいいと思いますが、ツイードの魅力はあくまでアルニコの暴れるようなクランチトーンだと思います。
http://www.electroharmonix.co.jp/jensen/
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ギターアンプにおけるトーンメイキングの最後の要がスピーカーユニットとキャビネットです。
これは係数が固定されたフィルターというか、スペクトルのカーブをスピーカー色に切り取るEQのような役割を果たすので音の印象を大きく変える重要な部分です。
スピーカーケーブルはベルデンの9497がツイードアンプとジェンセンスピーカーの接続にはベストマッチです。
9497は低域がやや弱くなるのですが、ツイードアンプに過度な低域は枯れ具合を損ねる要因にもなるため、多少犠牲になったほうが中高域の音がハッキリ立ってくるので魅力がぐっと増す感じです。
DiezelやMesa Boogieのような重低音の轟音感を売りにしているようなアンプのスピーカー配線は8470のように全帯域がフラットに近い感じで出るケーブルのほうがおすすめです。
いずれにせよ、ブルースデラックスに標準で付いてくるケーブルはなかなかの貧弱さなので、何かに交換するだけで音は良くなったように感じられると思います。
ちなみに愛用するMATCHLESS DC-30は色付けをしたくないためベルデンの8470をつけてます。
quelltllのカッティング系の音はDC-30がメインです。