ギターに限らずですが、音というのは耳に近い段ほど、機材の特性が反映されやすいです。
どのスピーカーから鳴らすのか、どの空間で鳴らすのかというのは最も耳に近い段階での音作りになるので、繊細な作業となります。
1dbでもEQを補正すれば劇的に音が変わる世界です。
これは逆に楽器に近い、スピーカーから遠い段でやるほど、あんまり最終的な効果としては分かりにくかったりします。
1dbあげようが下げようが後段の機材でその違いを反映しにくいようなものが挟まっていればあまり意味がない処理になります。
といっても、エレキギターだったらアンプの歪の後ろでやる処理か前でやる処理かというのはEQ一つとっても、歪のキャラクターが全然違ってくるので、耳から遠い段でもすごく重要です。
歪の前のEQは歪みの質感そのものを変化させますが、歪の後ろのEQは質感は同じなままスペクトルバランスだけが変わります。
要はPAっぽい処理ですね。
さて、ギターアンプの音作りで、アンプやキャビネットはそこそこ重視されますが、中に搭載されているスピーカーは案外無視される傾向があります。
しかし、ここは最も耳に近い段での音作りになるので、下手すると一番大きく音の印象が変わる部分でもあります。
以下、スピーカーによる音色の違いを比較した動画を紹介します。
この動画はリベラが作っているスピーカーの比較動画ですが同一条件でスピーカーだけ入れ替えて音を聞き分けるものです。
各メーカーのキャラクターの違いが、とてもわかりやすいのではないでしょうか。
比較スピーカー:
– Celestion Vintage 30
– G12-H30
– K100
– M70
– Seventy 80
– Gold Tone
– Greenback
– G12T-75
– Jensen Alnico 12, JBL M222, EVM12L, Tone Tubby 40/40, Tone Tubby San Rafael 25, Eminence Tonker and Eminence Swamp Thang.
以下は50,60年代のオールドフェンダーが搭載していたJensenのスピーカーの比較です。
セラミックのCシリーズとアルニコのPシリーズの音の違いなどはなかなか勉強になります。
50年代のツイードトーンと呼ばれるチリチリした質感のクランチ〜軽い歪みの音色はアルニコのジェンセンによるものも小さくないことが予想できると思います。
比較スピーカー:
– Jensen Blackbird from the Jet Series
– Jensen C12N Special from the Vintage Ceramic Series
– Jensen Falcon from the Jet Series
– Jensen MOD 12-70 from the MOD Series
– Jensen Tornado from the Jet Series with a Neo Mag magnet.
– Jensen P12N from the Vintage Alnico Series
以下はFenderのホットロッドデラックスを使って、標準搭載のエミネンススピーカーとジェンセンのアルニコスピーカーを比較する動画です。
エミネンスはモダン、ジェンセンはヴィンテージっぽい質感です。
比較スピーカー:
– Eminence Legend 125 50 Watt
– Jensen P12Q
以下はセレッションのアルニコブルーやG12H、Vintage30等の有名スピーカーの比較です。
アルニコブルーはVOX AC30に搭載、Vintage30はマーシャルにも搭載されているもので、スピーカーのキャラがアンプのキャラとけっこうリンクしていることがわかると思います。
比較スピーカー:
CELESTION
Alnico blue
G12H Anniversary
Vintage30
Greenback
G12H 75
以下は27台のセレッションスピーカーの比較です。
1. 1983 G12H-100 1:06
2. 2013 G12K-100 1:39
3. 1973 G12H-30 55Hz T1281, Pulsonic 1:57
4. 2014 G12H-30 55Hz Heritage 2:51
5. 1971 G12H-30 55Hz T1281, Pulsonic (May be Pre Rola) 3:24
6. 1976 G12H-30 55Hz T1281, Kurt Mueller, “Black Back” 3:58
7. 1970 G12M-25 75Hz T1221, Pulsonic, Pre Rola 4:55
8. 1995 G12M-25 75Hz Reissue 6:01
9. 1980 G12-65, 1777 7:13
10. 2014 G12-65 Heritage 7:48
11. 1982 G12-65, 1777 8:23
12. 1971 G12H-30 75Hz, Pulsonic, Pre Rola 8:55
13. 1974 G12H-30 75Hz, Pulsonic, “GreyBack” 10:07
14. 1978 G12-80, 1777 10:41
15. 2014 Classic Lead 80 (G12-80), 1777 11:14
16. 1993 G12-80, 1777 12:11
17. 1965 AlNiCo Silver B025 12:43
18. 1988 Vintage 30, 444 13:40
19. 2013 Vintage 30, 444 14:14
20. 1989 G12M-70 15:07
21. 1987 G12T-75 15:42
22. 2010 G12T-75 16:14
23. 1999 G12T-75 16:49
24. 1979 G12-125 17:22
25. 1991 G12B-150 17:56
26. 1993 G12T-100 18:29
27. G12F-60, RockDriver Junior. 19:02
以上、エフェクター感覚でいろいろ瞬時に入れ替えられたらもっと音作りの自由度が広がるスピーカーによる音作りですが、ピックアップほど大変ではありませんが、すぐには交換できないため、事前の実験や勉強が必要ですね。