10/2に終了したスクラッチング・ザ・サウンドウォールにお越し下さった皆様、ありがとうございました。
http://movingcastle.jp/scratchingsoundwall/
今回様々な特殊な機材を使用して制作を行ったのですが、中でも超指向性スピーカーから発せられていたスクラッチングノイズを作るために重要な役割を果たしたのが小野測器さんにご協力いただいたコンタクトピックアップ(NP-3211)です。
1cmに満たない米粒数個分のサイズのピックアップなのですが、これが脅威の感度でシャープペンシルの繊細なドローイング時に生ずる振動を拾ってくれました。
通常のマイクを使用するとS/N比の問題で、シャープペンシルよりも遥かに大きく響く外部環境音にかき消され、ドローイング時の触感を音に反映することなど不可能なのですが、このピックアップを使えばほぼドローイングの振動以外の音を遮断することができ、出力したい音だけを超指向性スピーカーに送ることができました。
小野測器さんの機材無しには全く別の形の作品になっていたことでしょう。
ピックアップは作品のアクリル板に瞬間接着剤で貼付けられ、2chセンサアンプ(SR-2200)に送られ適切なゲインに調節されRMEのオーディオインターフェイスからMax/MSPに送り込まれました。このドローイングのサウンドはバッファーループにどんどん重ね書きされていき、部分から構成される音がドローイングの構築とともに次第に大きく、カタチになってくるシステムになっていました。
店内に設置された8個のスピーカーからはそれぞれ都市でフィールドレコーディングされた音響がリアルタイム処理で鳴らされていました。時間と方向がオシレーションされながら発せられる都市のサウンドはしばしばDJスクラッチのようなフックが出現し空間、環境に刺激を与えることを意図していました。
この音と超指向性スピーカーでのドローイングの音を両立させるためには高感度なコンタクトピックアップが不可欠です。
ディーンマークレーのアコースティックギター用のコンタクトマイクも試したのですがS/Nが悪くとても今回のような用途には使い物になりませんでした。
小野測器さんありがとうございました。
http://www.onosokki.co.jp/
Max/Msp/jitter for Music: A Practical Guide to Developing Interactive Music Systems for Education and More Vincent J Manzo Oxford Univ Pr (Txt) 2011-11-16 |