Fender Custom Shop ピックアップ Fat ’60s がついに製品化

投稿日: カテゴリー: Guitar

DSC06804

フェンダーカスタムショップの新製品Fat ’60sストラトキャスターピックアップが密かに発売開始されてます。
2018年春のNAMMで発表されたようです。

https://shop.fender.com/en-US/accessories/pickups/custom-shop-fat-60s-stratocaster-pickups/0992265000.html

これまでFat ’60sは5年くらい前からカスタムショップのチームビルドなど一部の楽器に搭載されていてた、60sピックアップのオーバーワインディングファットバージョンという位置付けのピックアップです。
楽器ごと買わないと手に入らないため、オークション等で高値で取引されていたものです。

DSC06799

Fat ’60s特長

フロントPU
Treble 5
Mid 5
Bass 6
6.7kΩ
2.8h

センターPU
Treble 5
Mid 5
Bass 6
6.7kΩ
2.8h

リアPU
Treble 5
Mid 5
Bass 6
6.7kΩ
2.8h

Formvarマグネットワイヤー
逆巻逆磁極仕様ミドルピックアップ
面取りスタッガード・ポールピース
アルニコ2マグネット
クロスワイヤーとファイバーボビン

DSC06805

ポイントはアルニコ2です。
ここがFat ’50sと根本的に違う部分で60年代のしっとりしたローズ指板アルダーボディーの音を拾う最適化が行われている部分。
実は60年代のフェンダーはアルニコ2は使ってないのですが、現代フェンダーの解釈ではアルニコ2を使うとのこと。

DSC06819

アルニコって衝撃を与えると簡単に磁力が落ちてしまうのですが、その磁力が落ちた状態をシミュレーションするためにしばしばアルニコ2が使われたりします。
よく古いギターはアルニコの磁力が落ちていると都市伝説的に語られたりもするのですが、50年代初期から中期にかけてはフェンダーもアルニコ3という最も磁力が低いマグネットを使ってピックアップを作っていた時期があるので
それを磁力が落ちたアルニコ5だと誤解したものが結構広まってしまったという背景もあったりします。
マグネットによって音色は大きく違うのは間違いありません。
フェンダーのPure Vintage 60th アニバーサリー54ピックアップがアルニコ3です。

DSC06825

きっと各年代のストラトのキャラクターの違いは当時の実際の楽器の仕様よりも現代のカスタムショップのリイシューのほうが大きくなっているのではないかと思います。
それはそれで音色で楽器を使い分けたい人にはありがたい癖を誇張した仕様だったりします。

DSC06808

アルニコ2系のピックアップは各社から出てはいるのですが意外とオーバーワインディングバージョンというのは無いもので、アタックからガンガン攻めてくるアルニコ5に比べるとウォームで柔らかい特徴があるアルニコ2をハイパワーにして中低域をさらに太くしているような音です。
高域の柔らかさとこの中域の密度の部分はFat ’50sとは全く違う部分です。

60年代のストラトをイメージするには間違ってない方向をさらに癖づけしている感じです。
いろいろなメーカーでパワー増し系のストラトヴィンテージピックアップはリリースされていると思いますが、どれもフェンダートーンから外れたところに行ってしまっているのが多く、気がつけばフェンダーの音じゃないなとなる現象は思い当たる節があるギタリストも少なくないと思います。

DSC06810

しかし、フェンダー純正のピックアップはテキサススペシャルやFat ’50sなど、どれも攻めた仕様なわりにフェンダーらしい部分はちゃんと維持されていて、ちゃんとストラトの音が出るところがすばらしいところで、この部分でのクオリティーコントロールは大手メーカーならではの相当なものがあるなと感じさせられる部分です。
そういう意味でもFat ’60sは60年代系のオーバーワインディングピックアップの中では最もフェンダーらしいサウンドの特徴を備えている部類と考えていいと思います。
本当の60年代のストラトのピックアップはこんなじゃないんだけど、どこか類似性を感じる音色に仕上がっている、それがむしろ本物のいい部分をより強調した方向に進化しているという印象です。

DSC06812

同様のコンセプトですでにフェンダーにはFat ’50sという50sピックアップのファットバージョンピックアップがありますが、これがフェンダー史上最高傑作なのではないかというほど素晴らしいピックアップだったので、60sもいつか出るだろうと思いつつ結構長い間待ってました。
ストラトにファットさとワイルドさを求めるギタリストはみんな好きであろう音です。

DSC06842

似たような使われ方をしているテキサススペシャルは実はCustom69のオーバーワインディングバージョンともいわれていて、60年代系の楽器に昔よく採用されてましたが、ヴィンテージ系とは結構違う感じがしたのはあくまで69がベースになってる発想だからなのかもしれません。
その割に、あまり大々的に宣伝もされておらず、現時点ではグーグルでもデジマートでも検索エンジンにも引っかからず、一部のお店でひっそりと売られている感じです。

DSC06815

Fender Custom Shop Fat ’50s Stratピックアップは1950年代のシングルコイルのStratocasterサウンドをワイヤリングの改良によって、低音のレスポンスを強化させたもので、巻き弦の迫力やパンチ感が素晴らしいピックアップです。
こう聴くとヴィンテージとはかけ離れたモダンな設計にも感じるのですが音色自体は枯れたオールド感を少しも崩さずにより太く改良している感じで伝統のフェンダートーンを維持したピックアップです。
食わず嫌いのヴィンテージ系マニアのかたはだまされたと思ってFat ’50sの音を聴いてみることをおすすめします。ヴィンテージ系の音が好きな人でもど真ん中の音なのです。

Fat ’50s特長

フロントPU
Treble 6
Mid 5
Bass 5
6.0kΩ

センターPU
Treble 5
Mid 3
Bass 5
6.3kΩ

リアPU
Treble 7
Mid 5
Bass 5
6.2kΩ

Formvarマグネットワイヤー
キャリブレート
逆巻逆磁極仕様ミドルピックアップ
スタッガード・ポールピース
アルニコ5マグネット
クロスワイヤーとファイバーボビン