Steve Reichの1967年の名作Piano Phaseを実行するMax/MSPパッチをフリーで公開しました。
http://akihikomatsumoto.com/download/
パッチはMIDIノートが書かれたpianoscore.txt を編集すれば自分の好きな音列に変更できます。
同一のアルゴリズムに音列をいろいろ当てはめて生成された音楽を比較するのは写真家ベッヒャーのタイポロジーの作曲版みたいなものと捉えてます。
ライヒのシミュレーションはもちろんですが、音列を独自に変えてみてその作曲の方法論の本質を見つめるのが面白いと思います。
人間ではなくてコンピュータに作曲させたりすると、一つのアルゴリズムからいくつも楽曲を派生させることが可能になるので、いやがおうにもそれらをタイポロジー的に聴いて観察せざるを得なくなる。作曲家的な視点だと、その中から最高のものを一つ選ぶんだろうけど、僕は全部並べたいんですよね。
僕はよりメタ的な指向が好きだから、一つの楽曲を作るよりも同じ様式を保ったバリエーションがいくつも生成できるようなシステムを作るほうが多くなるけど、その中から一つを選んで提示してしまうと伝統的の作曲法との違いが無くなってしまうので、なかなか音源公開やライブという方法には落ち着けないんです。
ただ、アルゴリズム作曲という方法自体はコンピュータを使うケースが多く、無意識のうちに最小限の記述で最大限の豊かな作曲になるように効率を重視してプログラムを書いてしまうから、ミニマルな姿勢に陥りがちだと思います。
プログラマーなら複雑なアルゴリズムから簡素な楽曲、単純なサウンドを生み出そうとはなかなか思わないので。
スティーヴ・ライヒ
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