過去の作品を整理していて、電子音響音楽を始めた直後の2004年のECForestという作品を発掘したのですが、いろいろと思い出が詰った作品です。
当時の環境はWindowsマシンにLinux OSそしてソフトウェアはJavaとRTcmixを使っていました。
Macを制作の中心にはしていたものの、OS9が健在でしたし、こういった先端の電子音を作る環境としてはLinuxのほうが有利でした。
基本的にJavaでアルゴリズミックに作曲をし、cmixで音響合成するという流れなのですが
Javaで生成したスコアファイルをサウンドファイルにコンパイルするのに実に6時間とかかかってました。
今で言う映像のレンダリングみたいな時間のかかりかたですね。
当時僕はMax/MSPも持ってませんでした。
夜プログラムを走らせて、朝確認して、という作曲のプロセスでとにかく時間がかかりました。
イメージどおりにならなかったり、歪んだりした場合にサウンドファイルを生成しなおす作業でまた半日潰れます。
加算合成はどんな音でも作れるという原理とは裏腹に、時間的な制約はつきものでした。
事実上、リアルタイムにどんな音でも作れるという音響合成ではなかったです。
そういった加算合成的なアプローチの効率を高めるためにFM音響合成を利用していますが、基本的にそれぞれのサイドバンドも音色というより独立したピッチの音の集合と捉えて、クラスター音響を作り出し作曲しています。
このプログラムも現在のMac OSとMax/MSPを使えばリアルタイムでぎりぎり動きました。
6時間コンパイルの時代がウソのようです。
思いついたアイデアをすぐに音響にできる時代がやっと到来した感じがします。
ECForest by Akihiko Matsumoto (2004)
.m4a file (2$)