仕事柄、ディープラーニング系のAIが生成した音楽について意見を求められることも少なくないんだけど、音楽として「成立してる」って状態と「優れた作品」には天と地ほどの差があって、後者は生身の人間の言説やストーリとも密接に関係してくるので、非人間が作れる気がしてない。今のところ。
生身の人間であるアーティストの力を低く見積りすぎるとAIはうまくいかないと思う。
ノイズや無音すらアートに変えてしまうのがアーティストの力で、音符だけ追っていてもこの領域の音楽には達しないと思う。
無から何かを生み出すというより、原石をダイアに磨き上げるのが芸術だったりもする。
音楽を作るアーティストがアーティストになる過程で勉強することは音符の作り方や音響の組み立て方だけではない。歴史や分析、他ジャンルとの共鳴、流行との距離感や社会問題、芸術家人脈の構築など作曲の外側の勉強のほうが時間がかかるくらいだし、自分の言葉で積極的に音楽を語る力も求められる。
ただ、一つ可能性があるとしたら、既に成立している芸術家がAIを自分の意図で開発して(させて)、生み出されたものを選択したり編集しながら自分のブランドを纏った作品として発表していくようなかたちだと思います。道具の一つの選択肢として利用するというのは大いに広まっていくと思う。
YouTube見てもよく思うんですが、音楽の質は高いのにアーティストになれない無名の一般の人が山ほどいることを考えると、そもそもきちんと作品を成立させてアーティスト活動するということに関しては、いかに楽曲の外側の活動も重要かって思い知らされます。。AIも質が高い音楽を生み出せたとて、そういう道を辿るのではないかなと。