コームフィルターというフィルターは周波数特性が一定間隔ので櫛のような形状になるフィルターです。
音楽の世界ではコーラス、フランジャー、物理モデリングシンセに応用されています。
アメリカの作曲家ポール・ランスキー(レディオヘッドがサンプリングしていることでも有名)はコームフィルターを使って詩の朗読を音楽にしたりしているのですが、こういうアプローチは現代音楽でこそ使い倒された音でもポピュラーミュージックにはほとんど入ってきていません。
これは何としても違う世界にアプローチを輸出したいなということで、EDMのDJたちも御用達のM4Lのオーディオプラグインにしてみました。
話は脱線しますが、僕の音楽制作、そしてプログラム制作のモチベーションとして異なる世界で断絶しているものを結びつけたいというものが大きいです。
ロックギターから始めた音楽は大学ではクラシック〜現代音楽/電子音楽に進み、大学院では現代美術、仕事では複雑系科学の学術的な制作からメディアアートまで幅広く音の世界に触れて、それぞれの面白い発想や技術的なノウハウを自分たちのコミュニティーだけで閉じておくのはもったいないと痛感しているからです。
Max/MSPが使える人なら簡単なので自分で作れると思います。狙いはMaxプログラミングやアカデミックな電子音楽はさっぱりわからないけど、新しい音を求めている巷のミュージシャンに化学反応をおこすような道具を提供したいというところです。
ableton M4L用コームフィルターのオーディオプラグイン、Tetra Combは以下のリンクから入手できます。
M4L Tetra Comb (.amxd file)
音声にかけると独特の金属的響きを伴ってボコーダー的にも使用できますが、原理はボコーダーとは全く違います。
Tetra Combは4voiceあるので、ハーモニーを持たせることも可能です。
ドラムにかけるとピッチが無いはずの打撃音からピッチを抽出できます。
様々な使い方ができるのではないでしょうか。
これはあくまでフィルターなので、シンセのように音を合成はしていません。すべて原音が加工されたものです。
このデモはコームフィルターの使い方のほんの一部なので、様々なプラグインやシンセサイザー、音源、演奏と組み合わせることでとんでもなく独創的な音を作ることは可能だと思います。
いろいろ実験してみてください。
その他のM4Lプラグインは以下のサイトにまとめてあります。
デモムービーなどをご覧になればどのような音が作れるかイメージできると思います。
http://akihikomatsumoto.com/download/