全個人事業主が涙する確定申告の時期がやってまいりました。
僕も最近は毎年収入の形態が違うので、毎回勉強し直しです。
そこで、この時期、今一度振り返っておきたいのが昨年1/7の宮島達男さんのツイート。
芸術に携わって生活をしている人には重要です。
宮島達男 @tatsuomiyajima さんのツイート
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1. デビュー当時、出版社に勤めながら作品を作っていた。お金がなかった。行政の区長宛にサポート要請の手紙を書いた。区長は「サポートは出来ないが、区民芸術賞があるから応募して」と。幸い、賞を頂き、副賞に10万円頂いた。ありがたかった。声を出さなければ賞があることすら知らなかった。
2. 税の申告は頭が痛かった。当時、会社勤めしながら作家活動。給与は予め天引き。少ない手取りから、画材や画廊使用料を払って大変だった。でも、ある時、芸術家として申告すべき事が分かって、そうした。すると、税金が戻ってきた。それで、大変助かり以来そうしている。
3. つまり、芸術家として申告をすると、芸術活動にかかる費用、絵の具代、キャンバス代、取材費、外注費用などが経費で認められ、税金の控除対象になる。芸術家としての収入はほとんどないが、会社員としての給与収入から税金を引かれているので、計算の上、払い過ぎで還付されるという仕組みだ。
4. ここで重要なのは、「私は芸術家です」と声を挙げることである。これが自己申告、申請主義のポイント。黙っていたら、通常の処理をされ、医療費ぐらいしか還付されない。行政から声がかかることはまず無い。予算枠があるので、あまり多勢の人々がサービスを受けると困るからだ。
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芸術家やデザイナーのような職業だとかなり幅広く経費が認められることはみなさんもご存知でしょうが、会社勤めしながら芸術家として申告するという発想にはなかなか至らないでしょう!
収入が無いものを税務署で職として認めてもらうには、すんなりいかないケースもあるでしょう。
しかし、芸術家というのは必ずしも収入を伴いそれで生計を立てていくようなお仕事とは言い切れないのではないでしょうか。
芸大の院生時代に山川冬樹さんの講義で僕がパフォーマンスアーティストは24時間アートをやっている意識があるのかといった愚問をしたときに
返ってきたことばで今でも覚えている(録音もある)のですが
「アートと日常に境界線は無い。職業としてのアーティストではなく、態度としてのアーティストではありつづけたいと思っている。その意味ではずっとアートをやっている感じはある。」
-2011年12月16日 山川冬樹 芸術情報特論にて-
これを聞いて、アートは態度であってアーティストとしての収入がどれだけあってといったことは次元が違う話だよなと共感しました。
ノーギャラでも作品の完成度のためなら力を貸してくれる人、制作に参加する人がいます。
不景気で金のことばかり考えているビジネスマンには考えられ無い世界ですが、アートでの質やゴールは売れる売れないといったこととはかなり違います。
最初から売りようが無い儚い作品を作るアーティストだって沢山います。
アートは売ることだけが価値では無いのです。
多くのアーティストは売ることよりも質を重視します。
アーティスト、芸術家はそれで生計を立てる職業というより生き様なんです。
アートを追求した結果収入も伴っていれば最高でしょうが、そういった人は一握りです。
僕も収入面で言えばバリバリ稼いでるエリートサラリーマンのようにはいってませんが、お金を最優先して作品をつくったり妥協したりといったことはやっていないので、何かを失敗しているとは思ってません。
職業として収入があって生活が成り立っているかどうかではなく、どれだけ自分が信じるものを徹底的に追求しているかということのほうが遥かに重要ではないでしょうか。