銀座の端にある中銀カプセルタワービルです。
設計は建築家の黒川紀章。
この個性的なビルはカプセル自体が交換可能な設計になっており、人々の生活の変化や都市の成長、衰退にフィットするように新陳代謝が可能な建築です。
これがメタボリズムと言われているのですが、現代でも決して通用しないわけではない考え方。
日本の高度成長期は成長一辺倒でしたが、現代の日本はむしろ人口は減り始め、大学等様々な機関でも規模の縮小が求められていたりします。
成長、拡大することは縮小するよりもよっぽど簡単です。
既に動き出しているものをストップさせるには大きな犠牲も払います。
建築に限らず、将来拡大するかも縮小するかも見えない時代には、サイトスペシフィックを実現しつつ、どちらの変化にも順応可能な、ヴァリアブルな思想が求められているように感じます。
空間、環境に順応、鑑賞者の前提知識の幅への順応、時間への順応。
僕のインスタレーション作品も順応ということはかなり意識しています。
長時間の鑑賞にも一瞬の鑑賞にも耐えられるような設計をしています。
こういったことは音楽のような時間芸術では物理的になかなか実現が難しいため、生成的インスタレーションやソフトウェアという形態をとっています。
これは多様化したライフスタイルの中で、鑑賞の制約をできるだけ取り払いたいという狙いもあります。
アートを取り巻く状況もここ100年では大きく様変わりしています。
かつてのように教養のある富裕層のためのアートとは限らず、ときには一般市民がアートを支えています。
誰がアートを支えるのかではなく、いつアートを支えるのかという時代になってきているのではないでしょうか。