Fenderのストラトキャスターというギターは様々な部品が使われており、部品が多いせいか、それらをカスタマイズすることでどんどん音が変わるため、好みの音色に向かってチューンナップしていくことができます。
エレキギターの面白さは、楽器作り(改造)、音作り、演奏の境界が曖昧で、音楽を作るためにミクロな部分から関与できることです。
ピアノで音楽を作る場合はこうはいきません。
数あるストラトの部品の中でも、トレモロユニットを支えるスプリングは実は音色を決定付ける大きな要因になったりします。
といっても、ボディー材やピックアップを変えたときほどは変わりませんが。
まず、トレモロスプリングを変えると生音で聴いて分かる程音量が変わります。
ストラトはトレモロユニットを安定させるために、裏側のスプリングでブリッジを引っ張っていいるのですが、このスプリングは当然弦の振動を受けて振動します。
その振動がまた弦にフィードバックされ振動するので、スプリングリバーブ効果があります。
音色が変わる理由はスプリングが変化することによってテンションが変わり、響きが変わるだけでなく、スプリングリバーブのリバーブ音の音色が違ってくるという面も大きいです。
80年代のLAメタル系のギタリストはこの鳴りが嫌でスポンジを挟んでミュートしてしまうケースもあるようですが、せっかくのストラトの個性です。生かしてみるのもいいと思います。
トレモロスプリングは各社から出ていますが、特に音色にこだわってスプリングを作っているのがRaw VintageとESPです。
上の写真はRaw VintageとESPの比較です。
ESPのほうがだいぶ色が濃いです。
今回はボディーもネックもウォルナット製という貴重なJapan Fenderのストラトを入手し、これまで使っていたギターに搭載しているRaw Vintageには大満足していたのですが、更なる音色のバリエーションを求めてESPに挑戦しています。
Raw Vintageの特徴については以前書いた通りです。
Raw Vintage ストラトのトレモロスプリングを改造
http://akihikomatsumoto.com/blog/?p=54
今回、ESPのトレモロトーンスプリング Type1を試してみました。
Raw Vintageとの違いについて探ってみます。
まず、外見はこのようなパッケージです。
ハデなアメリカンデザインのRaw Vintageに比べて工場っぽいイメージです。
付属するスプリングは5本。
それぞれパッケージングされています。
このスプリングは4本、5本で使用することが推奨されています。
色はさびたブロンズのような独特のオールド感があるのですが、音はそれほどオールドな印象ではないです。
ESPの職人さんに伺ったところ、Raw Vintageが明確にオールドギターの響きを追求しているのに対して、ESPのほうはESPのオリジナルギターに代表されるようなモダンでハイファイ、ハイゲインなギターの音にマッチすると言えるそうです。
実際ESPのギターには標準で搭載されています。
ちなみにこれはType1ですが、Type2はもう少し径が太く、ハイミッドの音域に特化して作ったとの触れ込みです。
実際の話では、フロイドローズ系のロック式トレモロのために作ったような部分もあるそうです。
しばしばネットの情報などを見てみると、フロイドローズだとType1の場合調整が難しいようです。
装着した感想は、Raw Vintage同様、ノーマルのスプリングより音が良くなります。
音が良いというのは主観的な表現ですが、おそらく誰もがそう感じると思います。
まず、生音で弾いただけでも音量が大きくなっていることがわかります。
Raw Vintageの音色と比較すると、ESPのほうが低音が出ます。
ハイミッドあたりのジャリーンという輝くようなFender独特の響きはRaw Vintageのほうが出ます。
ある意味、ESPのトレモロスプリングはクセの無い音と言えます。
フラットに近い印象がESPです。
どちらが良いとかではないので、目指す音の方向性に応じて選択すればいいと思います。
どちらも、音が変わるって意味では同じくらいの変化があります。
ESPのトレモロスプリングはType1と2は組み合わせて、交互に入れたり、それぞれの本数を調整することで音色の微調整が可能でそういう使い方をしている人も沢山います。
そんなに高いパーツではないので、いろいろ試してみるのも面白いと思います。
売り上げランキング: 19,231