MobMuPlatというiPhoneアプリが登場しています。
http://www.mobmuplat.com/
https://itunes.apple.com/WebObjects/MZStore.woa/wa/viewSoftware?id=597679399&mt=8
これはPuredataというMax/MSPに似たアプリケーションを使って作ったパッチをロードしてiPhone上で実行できるものです。
Maxに無い魅力として、PDがオープンソースということもあると思います。
おそらくMaxだとライセンス等の関係でCycling’74が純正のアプリを開発しない限りiOS上でMaxパッチを実行できるアプリは出ないと思います。
PDをよくMax/MSPのパロディー版の無料のやつと思っている人を見かけますが、その理解はクールポコ状態です。
PDは作曲家、プログラマー、数学者であるミラーパケットが開発しているMac, Windows, Linuxに対応しているソフトウェアですが、そもそもMax/MSPの原型はミラーパケットが開発したものです。
ある意味ではPDのほうが正当な初期のMaxの後継者なのです。実際にPDはMaxに先駆けてオーディオ処理機能を搭載していましたし、研究者の間でも信頼性の高いソフトの一つです。
初期のMaxはミラーパケットが現代のフランス音楽の巨匠フィリップ・マヌリのピアノとエレクトロニクスのためのPlutonという作品のために開発したものです。
画期的なソフトの発明の後、ミラーパケットとIRCAMとの間でおこったMaxの特許に関するトラブルはここで読むことができます。
http://cec.sonus.ca/econtact/11_3/puckette_ownership.html
PDの入手先
http://crca.ucsd.edu/~msp/
PDはフリーで配布されているものの、素人が趣味で作った程度のアプリではなく、市販のソフトシンセサイザーでは不可能な高度なオリジナル音響処理、音響合成の開発を行えるアカデミックなソフトウェアです。
オリジナルパッチをMob Mu Platで実行する手順
1. 下記のリンクからダウンロードできるMobMuPlat Editor上でユーザーインターフェイスを作る
http://music.columbia.edu/~daniglesia/mobmuplat/MobMuPlatDistribution.zip
2. PC,Mac上のPureDataで音響のプログラムを書く
この場合、RjDjのときと同様PD-Extendedではなく、PD-Vanillaと呼ばれるミラーパケットのオリジナルプログラムのほうで開発をする必要があります。(厳密にはVanillaをベースにして、MobMuPlat用にカスタマイズされたアプリが上記リンクに含まれています)
PD-Vanillaはミラーパケットが必要と考えている最小限のオブジェクトのみが搭載されているバージョンなため、Extendedで便利なオブジェクトのいくつかがありません。ExtendedのほうがMaxのオブジェクトに触発されて追加されたエクスターナルオブジェクトなどもあり、便利なのですがこれは使用できないので注意が必要です。
3. iTunesを起動し、appsタブを一番下のほうまでスクロールするとMobMuPlatのドキュメントフォルダが現れるので、画像や音声ファイル、PDのパッチなど必要なファイル一式を置く
4. iPhoneでMobMuPlatを起動する
上のような非常に簡単な流れでiOS用のサウンドプログラミングを行うことができます。
かつてのiPhone上でのPD実行環境であったRjDjよりも楽です。
iOSのアプリ開発は基本的にアップするだけでコストがかかるものなのですが、MobMuPlatは開発環境も実行環境もすべて無料です。
早速、音楽家のみならず、インスタレーションやパフォーマンス等で使う人が増えそうなアプリですね。
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