ギターの歴史では長らくガット弦という、羊の腸を材料にした弦が使われてきました。
バンジョーやリュートなども同様にガットです。
ナイロン弦が一般的に使われるようになったのはセゴビアが1946年に大々的に使用して以降徐々に広まっていった音です。
しかし、ナイロン弦の音色というのはガットとは似て非なるもの。
19世紀以前の音楽はナイロン弦ではなくガット弦の音色を想定して書かれています。
その響きを現代に蘇らせるためにはガット弦を買うしか無いのですが、ガットは製造が難しく、1セット1万円程度します。
狂牛病の時期は輸出すらできない状態でした。
しかし、人工素材でガットの音を再現したナイルガットという弦をイタリアのAquila社が開発しています。
http://www.aquilacorde.com/
Aquilaはナイロンとは別のベクトルで、古楽に合うようなガットの響きを現代の人工素材で再現することを追究しているメーカーです。
ナイルガット以外にも様々な新素材の弦を開発しているようです。
ALABASTRO、PERLA、ambraというシリーズがクラシックギターでは主です。
そのうち、ALABASTROというシリーズを試してみました。
ALABASTROシリーズは、ガットの代表的な短所をクリアし、長所を引き継いだSupernylgut® を使用しています。
その特徴は、アタックの速さと水分の変化の下でのチューニングの驚くべき安定性があります。
Alabastroシリーズの低音弦は、引張応力に対する高い耐性と、大気中の湿度と汗の両方を吸収しずらい性質を持つ、Supernylgut®
マルチコアで構成され、高品質銀メッキ銅でラウンドされています。
僕の所有するギターはピンブリッジなので、ボールエンドでは無い弦は張ることができません。
しかし、裏技があります!
ボールエンドの部分は単純な構造なので、自作してしまうことです!
これで、弦の選択のバリエーションが劇的に増えます。
使い終わったボールエンド弦のボール部分を取り外して、結び目を作った弦に取り付ければこれだけで非ボールエンド弦をボールエンド化できます。
といっても、こういった用途で使いたい人はそう多くはないかもしれません。
ナイルガット弦は乳白色です。
ブラックナイロンと比較すると真逆のカラーです。
透明のナイロン弦に慣れている人にも新鮮なカラーだと思います。
サウンドの方は19世紀っぽいというか、古い響きになります。
現代ギターのゴージャスな迫力ではなく、リュートのような繊細な音色に近づきます。
最近ではウクレレのほうでナイルガット弦が流行しているようですが、小型のギターにとても合う音です。
大迫力の音色を出す大型のギターにはミスマッチな音色かもしれませんが、パーラーギターをお持ちの方はナイルガットの音色を試してみる価値はあると思います。
ナイルガット弦をC.F. Martinの3-17に張って演奏したサンプル動画です。
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