最近はLEDの低価格化による植物工場ブームで、一般家庭でもLEDでトマトやレタスを栽培している人もいると思います。
僕が学部時代を過ごした玉川大学でもLEDを使った栽培の研究は盛んで、既にLED栽培の野菜は小田急沿線のスーパーに出荷されて食卓に並んでいます。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK17027_X10C10A6000000/
LEDによる栽培は室内が基本のため天候や害虫などに左右されない安定したペース維持が見込めます。
LEDの光は自然界の太陽光のように全ての波長が混ざった光ではなく、有害な紫外線や赤外線を出さずに特定の波長の光を出すことができます。この特異な光は植物にはプラスに作用する面が大きいことがわかってきています。
http://www.ee.utsunomiya-u.ac.jp/~kawatalab/pse/workshop/j2013/pse2013_watanabe.pdf
植物にはあまり緑色の波長の光は必要が無いことがわかってきており、真っ白い太陽光よりも効率的に育てる方法が見つかっています。
光合成は、植物の細胞(さいぼう)内の葉緑素(クロロフィル)が光を吸収することで行われます。クロロフィルは、波長600~700ナノメートルくらいの光をよく吸収します。だから、赤色LEDの光を当てると光合成が盛んになって成長が早くなるのです。
しかし、赤色だけで植物が育つわけではありません。発芽には、波長450ナノメートル前後の光も必要です。青色LEDの発光波長(450ナノメートル前後)は、発芽にぴったりです。図のように、赤色と青色の両方を使うと、植物を効率よく育てられることがわかります。
http://web.canon.jp/technology/kids/mystery/m_04_07.html
そういった最新の研究結果を踏まえつつ、いかに効率的に植物を栽培できるか、LEDの光や様々な栽培のための要素をarduinoを使って制御するシステムを作っています。
題材に選んだものは五葉松の盆栽です。
盆栽は成長に数十年を要するもので、粋な職人的技術は海外からも注目されています。
しかし、僕らのような時間に追われる世代の人間にはなかなか手を出しにくい趣味でもあります。
従来の気長に構えて1年のスパンでスケジューリングしていく盆栽を少しでも早く成長させ、テクノロジーを使って手入れの敷居を下げようというもので、長年盆栽に親しんだベテランから見ると、かなり煙たい邪なプロジェクトだと思います。
栽培にはDMX等の照明用のプロトコル、デバイスではなくarduinoからゆくゆくはさまざまなセンサーと組み合わせて複合的にRGBの色を制御できたらと思い、LEDテープライトを採用しています。
LEDテープライトはハンダを使えば切り貼りができるので配置が非常に自由な点も魅力があります。
制御はTIP122というトランジスタを使ってarduinoのpwm出力を増幅させてからLEDに送っています。
現在は赤系と青系の2chです。
LEDで栽培は水草などの例はあるものの、盆栽は難しいと思われます。
今後枯れる等の何らかの問題が発生するかもしれませんが、システムやプログラムを随時アップデートしながら最適解を探りたいと思います。
光の制御に使っているarduinoの現段階のソースコードは上のシンプルなものです。
付けっぱなしではなく、緩急をつけています。
赤色は天井から、青色は底の側面から発光させて、光合成と枝を伸ばす方向を分けてコントロールできればと思っています。
一定周期で底の側面のLEDは青から青と赤を混ぜた色にも切り替わるようにしています。青は発光しっぱなしです。
光合成には緩急が必要だけど、茎や葉が伸びる方向の指示は出し続けていてもいいのでは?という発想からくるプログラムです。
盆栽は上へ上へと単純にストレートに伸ばしていけばいいものではないので、LEDは下からあててます。
僕もプログラミングはできますが、五葉松の栽培に関してはビギナーなので、ご意見、アドバイス等@Akihik0MAまでいただければと思います。
180度ずれたことをやっている部分もあるとは思いますが、最悪枯れるかもしれないというリスクをとりながら、こうやったら効果的に育つかも?という仮説を立てながら、実例が無いような実験を繰り返したいと思っています。
現在のシステムでは光量は3600lmほどなのですが、おそらく、もっと光をあてないといけない気がしています。
温度管理も現在はしていないのですが、ゆくゆくはセンサーをつけてなんとかしようと思っています。
風を送ることも必要なのでは?と思っているので、モーターを回す予定です。
オライリージャパン
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