近頃告知のようなブログばかりなので、たまには真面目に音楽について紹介する記事を書こうかと思いました。
音楽史はしばしばバッハから始まってしまうのは皆さんも小学校、中学校の音楽の授業で経験済みでしょう。
もっとも、日本における音楽の歴史、雅楽や琵琶楽、水琴窟や鹿威しのような音響を差し置いて、西洋音楽の歴史が日本における音楽史を独占してしまうという問題もありますが。
バッハ以前、すなわち、クラシックやバロック音楽よりも古い時代のルネサンス音楽は多声音楽の時代。
多声音楽(ポリフォニー)とは複数の旋律やリズムが同時に並走している音楽で、現代で主流のホモフォニー(一つの旋律に対して和声的な伴奏がつく)音楽とは異なり、和音はあくまで旋律が重なった上での副次的なものというとらえかたです。
非常に複雑なテクスチャーは現代からみてもけっして原始的な音楽などではありません。
逆に、ここで作曲技術の頂点を迎え、他にやることがなくなってしまったがゆえに
バロック音楽などではポリフォニーではなく、和声的に通奏低音などで旋律を彩るように方向が変化しています。
ジョヴァンニ・ダ・パレストリーナ / Giovanni Pierluigi da Palestrina はルネサンス時代のイタリアの作曲家です。
パレストリーナの技法はパレストリーナ様式とも呼ばれ、現代でも対位法の教育のお手本となっています。
中でも最も知られている作品は教皇マルチェルスのミサです。
6声(一部7声)の合唱曲ですが各声部の旋律の美しさは、日本人が小学校で歌うようなホモフォニックな合唱曲とは随分イメージが違うでしょう。
この時代は宗教改革期まっただ中であり、パレストリーナも宗教改革の影響を受けており、それ以前の作曲家よりは一歩ホモフォニックに近い音楽になっています。
当時の作曲家はトリエント公会議以来、複数の声部でバラバラの歌詞を歌うような複雑な音楽が禁止されたり、パロディーミサと呼ばれる当時流行していた世俗曲の旋律を取り入れた音楽が禁止されました。
サンプリングが問題になる現代では考えにくいかもしれませんが、芸術においては既存のある旋律を核に据えて、ポリフォニックに展開することが作曲と呼ばれた時代があり、グレゴリオ聖歌の旋律の引用は必須でした。
パクらなければいけなかったのです。
サンプリングが問題視されるようになった理由は音楽的な要請というより、20世紀後半に音楽産業が大きなお金が絡むビジネスに発展したことに起因すると思われます。
訴訟やお金がからまなければ、サンプリングは音楽的には発展に向かう材料であったはず!
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